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糸島こどもとおとなのクリニック

マッケンジー法・症例ファイル

case_153 左中指痛(腱鞘炎?)

投稿日:2019年12月21日 更新日:

指が脹れていて指の付け根あたりが痛みます

福岡、糸島こどもとおとなのクリニックからお届けするマッケンジー法・症例ファイル。
今回は中指が痛くて来院された30代男性のお話です。

昨夜、皿洗いをしていてふと左中指が痛いことに気づき、その後、左中指の痛みが続くため来院しました。
PIP関節(指の3つの関節のうち、真ん中の関節)から基節(指の付け根の部分)あたりが少し脹れていて、指を曲げる時に手のひらの指の付け根のあたりが痛みます。

実はこの方のお母様がこちらにかかっておられ、自分も肩こりがあるからと、お母様にしていただいていたのと同じ首の伸展エクササイズ(RET+EXT)を真似してやっていて肩こりは治ったようです。

指が腫れて痛いということですが、診察の順番は……そう、頚椎からです。
マッケンジー法・症例ファイルをこれまでご覧頂いている皆様でしたらおわかりですね。

診察の時点でも、左手をしっかりとグーが出来きず指を曲げる時に痛みがあるようです。

姿勢を矯正して保持してみますが、とくに変化はありません。

(姿勢保持検査 NE)

自宅では頚椎の伸展をしていたようですが、どのようにやっていたのかやり方をチェックしてみます。しっかりと伸展を5回してから、同じようにグーパーをしてもらいます。

「あっ、さっきより痛いです」

(RET+EXT 5回 I-W)

今度は顎をしっかりと引いて自分で抑え込んでしばらく保持した後に、もう一度、曲げてもらいます。

「さっきよりもっと痛くて曲げにくい…」

(RET持続 I-W ROM⇣)

頭を前に出したり、顎を胸につけるように首を曲げたりしても状態はもとより悪くなったままのようです。

(PRO持続 NE、FLX w/op self NE)

前後方向の動きを一通り評価しても悪いままですので、今度はしっかり左に顔を向けること5回、同じくグーパーをしていただくと、先程の痛みより軽くなったようです。

(LROT 5回 B?)

今度は頭を左にしっかりと倒す動きを5回。

「もう一回グーパーしてみましょうか」

「あっ、今は痛くないです!さっきより曲げやすい…」

(LFLX w/op 5回 D-B ROM↑)

この左側に首を曲げる動きで改善の兆候がはっきりと出ました。

そこで、このエクササイズを宿題にして初回評価を終了します。

それから2日後。

もう、ほとんど症状はなくなったようです!腫れも引いているのが見て取れます。
かなり真面目にエクササイズはできたようで、昨日は首が凝ったりしたようですが今は大丈夫とのこと。
現在は左中指付け根の手のひら側(A1上)に3点(考えうる最大の痛みが10点満点として)の圧痛があります。

今回はしっかりと5回首を頚椎を伸展していただき、先程の痛かったところをもう一度押さえてみます。

「あれっ、今は…ほとんどないです!」

(RET+EXT w/op self 5回 D-B)

かなり改善感がありますので、もう一度しっかりと5回。

「おお〜っ、全然痛くないですね!」

(RET+EXT w/op self 5回 abolish B)

今回は皿洗いをしていて中指が痛くなり腫れて曲げにくくなったという男性が、頚椎のエクササイズをしたところ2日間で症状は消失してしまいました。
たまたま自然に良くなったのかもしれません。しかし、二日目に残っていた圧痛も、初回と異なる頚椎の動かし方を行った結果、その場で症状が完全に消失しました。
ここまでの反応を見ると、たまたま自然に良くなったとはもう言えないように思えます。

マッケンジー法では毎回診療のたびに、その時点での症状を確認し、メカニカルな刺激に対する反応に応じてエクササイズのやり方を微調整したり、あるいは今回のようにガラリと変えたりすることもあります。

医療関係者も含めマッケンジー法を単なる体操法と思っている方が少なくありません。
しかし、実際にはこの方のように、症状の変化を注意深く評価しつつ、その時点でもっとも適切なエクササイズを選びながら治療を進めて行く、すなわちメカニカルな刺激に対する反応をみる評価・治療法(MDT:Mechanical Diagnosis and Therapyとも呼ばれます)なのです。

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