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糸島こどもとおとなのクリニック

マッケンジー法・症例ファイル

case_28 両肩痛

投稿日:2017年5月27日 更新日:

両肩痛、10年ほど前より五十肩と思っていました…その評価の結果は?

糸島こどもとおとなのクリニックから不定期にお届けするマッケンジー法の症例ファイル。本日は50代後半の男性、主訴は両肩痛です。第3回目までのフォローを含めた一話読み切りですので、やや長いことご了承ください。

10年ほど前より五十肩と言われていたそうで、当時から動かすのは痛くないけれど、じっとしていても両肩の痛みを感じておられたようです。
このあたり、マッケンジー法で評価しているセラピストの皆さんはきっとピンとくるところでしょうか。

高校生の頃から時に首が痛くなっていたそうで、当時から頚椎が悪いと言われていたようですが、特に治療などは受けれおられません。

寝ているときも寝返りする時に痛みで目が覚めるようで、寝返りするたびに「アイタタタ……」といってご家族にも煩がられていたとのこと。
日中は比較的重労働をされ、家に帰るとベッドにもたれてだらりと座ったりごろごろしたりという生活のようです。

痛みの部位は比較的限局していて明らかに両側肩関節の前方のあたりを痛いと言われます。両肩の屈曲(前方挙上)と外転は多少痛みはありますが可動域に制限ありません。
長年の症状でもありますので、一応レントゲン撮影も行います。両肩にはごく軽度の変形を認めますが、あまり問題になりそうではない印象です。頚椎についても評価が必要と判断しましたので頚椎のレ線撮影もしましたが、C6/7変性、骨棘形成を認めますが、不安定性もなく、さほど大きな異常はないようです。

頚椎のレントゲン?……ひょっとするとまだ当クリニックの症例ファイルをあまりご覧になったことのない方にはそう感じる方もあったかもしれません。
肩の症状であっても頚椎のメカニカルな評価で改善があることは少なくないのです。

問診情報ではレッドフラグなしです。

さて、まずは座位でじっとしてもらいます。例によって頭が前に出ていて姿勢は悪いです。(protruded head+)
この状態であまり痛くないかと思いきや、お伺いすると両肩前方の鈍痛がVAS 4〜5/10と実は結構痛いようです。
さらに右肩伸展でVAS 9/10、左肩外転でVAS 6/10と、特に右肩に激痛があり、再現性があることを確認してこれらをベースラインに評価開始します。

姿勢矯正して1分ほど保持してみます。お伺いすると、両肩前方の痛みは少しいいかなというくらい。これは有意かどうかはわかりませんが、少なくとも悪くはないようです。
頚椎可動域をみてみると、後屈制限が中等度あり、真上は向けません。

アドバンスドコース受講後は、評価する患者さんのコンディションにあわせて負荷のかけ方を早めに上げることができるようになりました。とは言え症状変化のモニタリングは重要ですので、これは手を抜けません。
一気に頭を引いてしっかり後屈するところまで、末梢に響くような症状などが出ていない事を確認しつつ行います。(頚椎RET+EXT)
1回で特に問題ない事を確認し、続けて4回……両肩前方の痛みを伺うと3/10くらいに半減したのが自覚されます(^-^)

更に負荷を上げてエクササイズを5回追加(RET+EXT w/op self)します。
そして、いちばん症状が激痛に近かった右肩を伸展していただくと……おやっ、半分以下になったとのこと。
加えて両肩前方の暖かいような感じを自覚されています(^-^)

座位姿勢指導、エクササイズ指導(RET+EXT w/op self 5回/セット、一日10セット目標)で初回セッション終了したました。

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それから数日後のフォローアップ。
まずは症状についてうかがうと、かなりよくなったと自覚されています(^-^)
前方の奥の痛みは前回のベースラインで使用した右肩伸展と左肩外転ではすでに消失していて出ません。かわりに上腕外側にわずかに痛みが出る程度になっています。
エクササイズがどの程度実施できたかお伺いすると、期待通り、5回1セットで10回は出来たようです。

何よりも今回満足度が高かったのが、夜間に寝返りで痛くて目が覚めていたのが、この一週間目が覚めずに眠れるようになってきたとのこと。10年来のことだったので、それがとても嬉しいようにお話されます。

エクササイズをチェックすると、まだ若干不十分なところがありましたので、ポイントを再度確認し、準備運動的に少し頭を引くエクササイズを数回してから伸展までもっていくようにやり方を少し変えて指導し、第2回めのセッション終了です。(RET w/op self数回した後、RET+EXT w/op self)

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そして第3回目のフォローアップ。
その後も寝返りしても目覚めなくなりよく眠れているようです(^-^)
両肩前方の痛みはすでにほとんどないようですが、前方挙上170゜くらいでわずかにまだ出るようです。
エクササイズはしっかりできているようで、このあたりはもうあまり追加の指導は必要なさそうです。

初診から第3回目までわずかに10日足らずでの改善。
しかも肩については全く触ることすらせず、頚椎のエクササイズのみでまだ改善傾向にあります。

ご本人は過去10年間もの間、五十肩と思い込んでいて両肩の治療はあれこれと受けてきたようですが、症状は変わることがなかったようです。それが10日足らずの頚椎のエクササイズで劇的に症状が良くなったという事実。このメカニカルな評価で改善する可能性がある方々をもれなく評価して症状から開放していく、これが当クリニック整形外科の方針です。

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