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糸島こどもとおとなのクリニック

マッケンジー法・症例ファイル

case_29 右肩痛

投稿日:2017年6月2日 更新日:

右肩痛、評価の結果、症状は著明に改善したのですが…

糸島こどもとおとなのクリニックから不定期にお届けするマッケンジー法の症例ファイル。前回に続き肩が続きます。本日は右肩痛を主訴に来院した80代女性のお話しです。

2週間ほど前から誘因無く右肩痛を覚えたようです。痛みで右手が全く使えず、お箸ももてなかったのですが、この2週間で少し良くなってお箸は使えるようになったものの、右手を少し動かすだけで痛いため来院されました。

既往歴では高血圧、喘息がありますが、肩の痛みに関係するようなものはなさそうです。
レントゲン撮影をすると、頚椎に骨棘形成などの変形を認めますが、大きな不安定性などないようです。右肩については特に異常所見を認めません。
レッドフラグ無しでマッケンジー法による評価を続けます。

姿勢矯正保持を試みますが、うまく出来ません。
私の説明の仕方にも問題ありかと思いますが、なかなか説明内容を理解していただけません。頚椎の動きもかなり悪く、このまま頚椎の評価を続けるのは困難です。

通常、肩の症状であっても姿勢や頚椎の評価を先に行っていくのですが、今日はうまくいかないのでマッケンジー法はここでおしまい……とはならないのがマッケンジー法の良いところですw

ここは頚椎の評価は飛ばして肩の評価に移ります。
もし、肩の評価で納得いかないときにはまた頚椎に戻って他の評価法を考えれば良いのです。

右肩を屈曲(前方挙上)してもらうと、20゜でVAS 8-9/10ほどの激痛が走ります。
伸展(後方挙上)は20゜で疼痛は我慢できるレベルです。
外転でも30゜VAS 8-9/10と激痛です。この屈曲・外転の二つの方向が最も症状が強いので、これらをベースラインとして評価スタート。

実は肩関節は動かせる方向の自由度が高い上に上腕骨の回旋も関係するのでとても評価が難しい関節。
動かさないと始まらないので、少しでも動かせる伸展方向から開始します。

まずは内旋位での伸展を10回、出来る範囲でしていただきます。毎回右肩痛が出現しますが、少しずつ痛みが減ってきました!(produce ただし反復とともに軽減)
屈曲していただくと、先ほどは20°で激痛だったのが、40゜の屈曲が出来ています(^-^)

どうやら方向性は間違っていない感触を得ましたので、さらに内旋伸展10回続けると、徐々に伸展のROMも改善し、伸展40゜になりました。

そして再度屈曲のベースライン確認します……すると、90゜まで挙がりました!(^-^)

周りで見ている看護師さんも一緒に内旋伸展の動きをしながら応援してくれますw

どんどんいっちゃいます。さらに内旋伸展10回、患者さん自身もどんどん手が後に挙がるようになり「あらっ、こんなに動くようになった!」と驚きの表情で続けてくれます(^-^)

さらに伸展のROMは改善し、伸展60゜とほぼフルの可動域にまで達しました。もう伸展時の疼痛はありません。
期待の屈曲は……170゜(左右差無し)可能となりました(^-^)

あまりの劇的改善に自分も喜びすぎて、外転のベースラインがどうかわったかとるのを忘れていたことにこの症例のことを振り返りながら気づきました……反省です(^_^;)

そして今後のエクササイズなどご説明をして第一回目の診察終了……と思っていたら、実は以前から左膝が痛いと打ち明けられました(^_^;)
今はさほど痛みは無いとのことですが、歩いていただくとVAS 3/10くらいはありそうです。

腰の評価も追加しました。
そう、膝でなくて腰からですね!

途中評価は割愛しますが、結果、流し台に腰をあてて腰を反らす動きを繰り返していただいたところ、歩行時の左膝痛は気にならない程度に改善しました!(反復EIS better 左膝痛1/10)

自宅でのエクササイズに流し台などを利用したエクササイズも追加して第一回目のセッション終了です。

……そして数日後、

全体的に症状はどうか伺ったところ、もう治ってますw
右肩をぐるぐる動かして見せられます(^-^)

で、エクササイズをどのくらいやったか伺うと、少し心配していたのですが、やはりほとんどやっていなかったという事が判明(^_^;)
ということは初回のセッションでほぼ完治に至ってしまったという事でしょうか。

再発の可能性もありますので、引き続きフォローは続けたいと思いますが、今回のようなエクササイズを理解していただくのが難しい患者さんについてはまだまだ課題が残ります。
ただ、このように初回の評価で劇的改善をすることがあるのも事実で、患者さんとのコミュニケーションが難しい場合でも、まずはマッケンジー法による評価をお奨めいたします。

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