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糸島こどもとおとなのクリニック

マッケンジー法・症例ファイル

case_61 右中指痛(屈筋腱腱鞘炎)

投稿日:2017年12月18日 更新日:

右中指のばね指(屈筋腱腱鞘炎)…腱鞘炎でもマッケンジー法?

case_60で右手首の痛みが腱鞘炎だと思い込んでおられた方で頚椎のエクササイズで症状が改善した症例をご紹介しました。今回は右中指の痛みを主訴に来院された40代女性のお話です。

ばね指をご存じの方は多いと思います。指が曲げ伸ばしの時にひっかかり、痛みが出る病気ですね。整形外科の外来でとてもよく見られます。

さて、この方はきゅうり農家をしておられ、一年中、朝から鋏を毎日使うそうです。今は年中どの野菜も手に入るので季節感はなくなりましたね(^_^;)

11月末からこれといったきっかけもなく、右中指が腫れて痛くなったそうです。受診の当日は少し痛みが軽くなっているようですが、右手指を曲げ伸ばしすると軽い引っ掛かり感があります。

加えて、もともと肩こりもひどく、頭痛もあるとのこと。頭痛と肩こりは関連ありそうと感じておられます。

両手指を見ると、たしかにご本人の訴え通り、右中指は腫れぼったい状態です。腫れはほんの少しですが、他の指とは明らかに違います。熱感などはありません。

しっかりと指を曲げていただくと、完全にグーは出来ますが、グーパーで軽い引っかかり感とVAS 5/10の疼痛はあるようです。

指の付け根に圧痛もあり、ここまで来ると「ばね指」または「屈筋腱腱鞘炎」の診断で間違いなさそうですね。

さて、ここからマッケンジー法ではどのように評価を進めるでしょうか…これはさすがに指でしょ!…と、思われる方が多いでしょうねw
いえ、上肢の症状はやはり頚椎からなんです!

佛坂
指の症状なんですが、首の運動で良くなることがよくあるんですよ

A子さん
えーっ?そんなことがあるんですか?

佛坂
ちょっとやってみましょうか(^-^)

普通に座っていただいた状態で現在の症状をお伺いします。ベースラインのチェックですね。

佛坂
まずグーパーして中指の痛みの具合を確認してみてください…いかがですか?

A子さん
痛いですね…

佛坂
今の痛みの具合をよく覚えておいてくださいね

姿勢を矯正して保持してもらいます。かなりきついと言われますが、痛みはないので頑張って継続します。途中、体が熱くなってきていると言われますが、これはよく経験されます。
普段使わない背中から首にかけての筋肉をしっかり使っているわけですから、発熱しているわけです。
そして1分後…。

佛坂
さっきのグーパーやってみましょうか

A子さん
あれっ、少し楽になってます

やはり頚椎が関係ありそうと納得していただけたようです。さらに頚椎検査をすすめることにします。 頚椎のROM(可動域)検査では特に問題ありません。

お元気なお若い方で単純X線写真では特に異常なく、可動域検査でもしっかり伸展が出来て安全が確認されていますので、負荷を強めにして5回伸展してみます。
(RET+EXT w/op self 5回)

佛坂
さぁ、もう一度、グーパーやってみましょうか

A子さん
あっ、引っかかる感じもなくなりました!

自宅では背もたれの椅子に座る時、背を伸ばして背もたれにもたれないように意識はしておられるようで、姿勢はさほど悪くはないのですが、注意点などはご説明します。

そして、翌日。

右中指はすっかり良いようです(^-^)

エクササイズをしている最中に一時的に左の方に頭痛があったようですが、今はないようです。
加えて、以前からあった肩こりは全くなくなっています(^-^)

エクササイズをチェックします。

よくあるポイントなのですが、頭を引く動作が少しゆるいことがわかります。
この点を再度指導し、頭痛が誘発されない事を確認し、タオルを入れた座位の姿勢指導をしてエクササイズを続けていただくことにしました。

そして、初診から9日目。

右中指は治ったと言われます(^-^)
でも、ちょっと恥ずかしそうにしておられますね…なぜ?

A子さん
良くなってから体操をサボっていたので来づらくて(^_^;)……サボっていたらまた指が痛くなったので、2日間体操を頑張ったら、今日は良くなりました!

一昨日から昨日までの2日間は1日5セットくらい頑張ったそうです。頭痛は今朝少しあったそうですが、今はないようです。

佛坂
それはとてもよい経験をされたと思いますよ!サボることで症状がまたぶりかえし、体操をして良くなるという事を体感出来たわけですから、貴重な経験をされたと思います!

この「サボる」というのは決して悪いことではないのです。サボって症状がどうなるか観察し、もし変わらないなら変わらないなりに、また悪くなったら悪くなったなりに、次にやることは自ずと決まってくるのです。常にビフォー・アフターを観察するマッケンジー法ならではのマネジメントの考え方でしょうか。

肩こりがよくなって、さらに頭痛がどうなっていくのか今後も楽しみですね。

頚椎のエクササイズで症状が改善する腱鞘炎もどきを前回ご紹介しましたが、今回の診断はマッケンジー法を知る今の私から見ても間違いなく「ばね指」または「屈筋腱腱鞘炎」です。

では、なぜ頚椎のエクササイズで指の引っかかりがその場で改善するのでしょうか。

メカニズムについてはまだまだわかっていないことが多いのですが、頚椎のメカニカルな刺激で上肢の浮腫が改善する事があるというのは、実はマッケンジー法の世界ではあまり珍しいお話ではないのです。

もちろん、ばね指といっても様々。私自身、以前勤務していた病院で数多くの腱鞘切開をしてきましたし、病理的にも様々なステージの腱鞘炎が存在します。なので、全てのばね指が注射や手術なしによくなるわけではないのですが、ばね指であっても手術の前にマッケンジー法(MDT:Mechanical Diagnosis and Therapyとも呼ばれます)によるメカニカルな評価をする価値は高いと考えています。

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