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糸島こどもとおとなのクリニック

マッケンジー法・症例ファイル

case_75 右手関節痛

投稿日:2018年3月20日 更新日:

右手のしびれが頚椎の伸展エクササイズで改善した事があります

本日は右手関節痛を主訴に来院された40代女性のお話です。

実はこの方、以前、肩こりと右母指〜中指のしびれで当クリニックにかかり、頚椎のエクササイズで治癒してしまったという方です。
その際には頚椎の伸展でよくなるタイプでしたが、今回も同じ右手の症状…どんな展開になるのでしょうか。

パソコン作業が一日に10時間ほどのハードワークが続いた2ヶ月ほど前のある日、特にきっかけもなく右手関節に痛みを覚えるようになりました。
当然、マウスの使い過ぎかなにかパソコン作業の関係で痛くなったと思われたようです。
以前覚えていただいた頚椎のエクササイズは続けておられたようで、肩こりについては完治しています。

問診情報からは前回同様レッドフラグはなく、単純X線検査ではストレートネックがある程度です。

頚椎のROM検査では普段から頚椎伸展のエクササイズをこまめにやっておられただけあって、動きは問題ありません。

右手にフライパンを持っていただくと右手関節橈側にかなり強い痛み(VAS 8/10)を感じます。

姿勢を整えて保持しても特に変化はありません。
(姿勢保持検査 NE)

通常実施されているエクササイズをチェックします。
大変スムーズにしっかりとエクササイズできています。これで効果がなかったということなので、もう少し負荷を上げてみましたが、症状に変化はみられません。
(頚椎RET+EXT w/op self、RETで左手を使ったop/self 2秒加えてからEXTエンドレンジを意識して 5回 NE)

ここでは良くも悪くも変化がないので、さらに負荷を上げるという手もあるのですが、今回、しっかりというポイントが加わっていますので、とりあえずこれを宿題にしました。

5日後。

悪くなりました。

やればやるほど悪くなった感じで、今は右手のひらを上に向ける(右前腕回外)だけでも右手関節橈側に響きます。

エクササイズをチェックしますが、完璧に指示通りに負荷をしっかりとかけて出来ています。

このエクササイズの途中、右手関節橈側にビリっと響く感じあるとの訴えがありますが、戻ると元通りで慎重に続けます。

そして数回の頚椎伸展運動の後。

佛坂
繰り返してみてどうでしたか?
A子さん
だんだん痛くなりました

以前は良くなった動きでしたが、今回はこの動きで悪くなっているようです。

そこで、頚椎の回旋、側屈の他、屈曲については自分の手で負荷をしっかりとかけていただきながら実施しましたが、頚椎の動きでは変化がありません。
(右回旋 5回 NE、右側屈 5回 NE、屈曲 w/op self 5回 NE)

このまま頚椎の評価をしていくのもよいのですが、頚椎が動いている割に胸椎の動きが悪い印象だったので、胸椎の評価に移ることにしました。

胸椎の伸展を5回続けてみます。少し右手関節の痛みが出るようですが、戻ると元通りです。
(胸椎伸展 5回 produce NW)

胸椎の屈曲を5回やってみました。すると少し手のひらを返す動作が楽になったようです(^-^) (胸椎屈曲 5回 少し軽減した感じあり)
さらに胸椎の屈曲をよりしっかりと5回…。

佛坂
さぁ、もういっかい手のひらを返すのやってみましょうか
A子さん
あっ、まだ痛いんですけど、さっきより良くなりました(^-^)

やっと改善の方向が見えてきました。

そしてさらに6日後。

あまりかわりません(^_^;)

右手を使う胸椎の屈曲では右手首が痛いので十分にできないようで、右手を使わないで左手だけで負荷を上げる手技を指導します。

頭の傾け具合など微妙に変えるバリエーションをいくつか試してみますが、あまりはっきりしません。
結局しっかりと真っ直ぐに5回屈曲するときに最も自覚的には改善するようですが、それでもまだ痛みが十分には改善されません。
(矢状面の胸椎FLX w/op self 5回 Better VAS 8-9/10→7/10 ※自覚的には明らかな変化)

痛みの改善が十分でない場合は鎮痛剤を併用することももちろんあります。
しかし、この方はもともとお薬がいやだとおっしゃっていましたのでお尋ねします。

佛坂
お薬という方法もあるのですが、それはお嫌いですよね?
A子さん
できればお薬無しでがんばりたいです!
佛坂
それができるならそれをおすすめします。いっしょに頑張りましょう!

当クリニックの症例ファイルでご紹介するお話にはマッケンジー法の分類でderangementと呼ばれる良い反応が比較的早期に得られる症例を中心に取り上げています。この方についてはまだ評価は現在進行形で、胸椎の屈曲により僅かな症状の改善はあるものの、まだ胸椎の屈曲が適当な動かすべき方向(胸椎derangement, DP FLX)であるかどうかすらわかりません。メカニカルな評価で早期に痛みが改善しない場合は鎮痛剤を併用しつつ評価を続けても間違いではないのですが、今回、ご本人と私との二人で相談し「鎮痛剤を使わない治療を継続」という選択肢を選びました。最終的にどのような形で治療が終了するのか未だにわかりません。
マッケンジー法は魔法ではないので、トントン拍子によくなる方ばかりではありません。しかしその時にどう考えていくのかということと、痛みをメカニカルな評価で改善できるのかを探るのは評価する医療者と患者さんとの共同作業である事をこの症例からお伝えできれば幸いです。

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