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糸島こどもとおとなのクリニック

マッケンジー法・症例ファイル

case_76 右股関節痛

投稿日:

脚を開いたときに右股関節の痛みがあります

本日は右股関節痛を主訴に来院された40代男性のお話です。

お仕事ではPC作業を一日10時間以上、自宅では床にあぐらで過ごされる事が多く、ゲームもお好きで一日3時間ほどなさるようです。
実は2ヶ月ほど前に左母指の痛みで来院されました。評価の結果は頚椎のエクササイズのみで3週間で完治しました。

さて、その卒業と思っていた日のこと。

B男さん
親指は良くなったんですが、かなり前から右脚を開く時に刺すような痛みがあるんです…

と別の症状を打ち明けられました。その動作をしなければなんともないので後回しだったのでしょうね。

実際に座った状態で右脚を開くと、かなり痛みがあります。
(右股関節屈曲外転 右鼠径部痛 VAS 7/10)

姿勢はまだ悪いため、姿勢を矯正して保持すること1分。
脚を開くときの痛みは変わらないか少し悪いかもというくらいです。
(姿勢矯正保持検査 NE)

そこで座ったまましっかりと腰を曲げる動作を繰り返してみます。
その後、脚を開いてもらうとわずかばかりいいかもとのこと。
(FISitting 5回 5/10 better?)

この屈曲を宿題にして1週間後…。

症状は変わりません。

他、横の動きなども含め変化がありませんでしたので、腰のスクリーニングはここまでとして、股関節の評価に進みます。

生活習慣的な右股関節の動きなどもあわせ伸展を1回してみます。少し良いかもとのことで、あと5回…変わりません。
(右股関節 EXT B? → EXT 5回 NE)

色々と動かしてみますがはっきりしません。結果は出ていませんが宿題を決めます。
痛みがでるけども悪くならない開脚のエクササイズを持ち帰っていただくことにします。

4日後。開脚での右股関節痛は全く変わりません。

あぐらをかく姿勢が多いようですので、逆に内股にした状態を続けてみます。右股関節の痛みが少し悪くなったようですが、もとに戻ると痛みは残っていません。

佛坂
もう一回脚を開いてみましょうか
B男さん
さっきより痛いです…

(立位での右股関節伸展内旋持続、worse 開脚時右股関節痛増悪)

逆にあぐらをかく格好で自分でさらに負荷をかけてもらうと、痛みが出るものの、戻ると元通りという感じで、座っていただき脚を開いて確認してもらうと、悪くなる前くらいには戻っているようです。

今回はじめて症状の変化らしい変化がありました。悪い変化だったのですが、マッケンジー法では良くも悪くも変化があった場合にそれをもとに次に動かす方向などを決めていきますので、今回の宿題はあぐらの姿勢で自分で負荷をかけるエクササイズとしました。

それから6日後。

あぐらで右股関節に負荷をかける事を続けていたところ、右股関節の周りがしびれたような感じが出てきて力が入りにくい感じになったのでやめていたとのこと。

再現できるか確認してみます。

あぐらの状態で負荷をかけつつ持続していたところ、右股関節が痛い感じがしてきて、座位に戻って脚を開いてもらうとより痛みが強くなっています。
(右股関節屈曲外転外旋持続 w/op self worse)

逆に行ってみます。座位で内股にして持続すると、今度は右股関節の痛みが取れてきました!

佛坂
もう一度、座ってから脚を開いてみましょう
B男さん
痛みが減りましたね…

(右股関節屈曲内旋持続 better)

今回はよりはっきりしてきましたので、右股関節を内股にして持続する座り方をしていただくことを宿題にしました。

それから13日後。

内股の座り方を続けていたところ、だんだんと痛くなったとのこと。
脚を開いたときの痛みも変わりません。

念のため股関節の伸展を再度確認してみますが、特に変化はありません。
(ランジのような立位での伸展 しっかりと5回 NE)

仰向けに寝ていただき、今度は股関節を伸ばしたまま内股にすることを5回繰り返してから再び座っていただきます。

佛坂
もう一回脚を開いてみましょうか
B男さん
だいぶいいです(^-^)

(仰臥位で股関節伸展位での内旋を5回 VAS 1/10 better)

もう一回寝ていただき、同じ反復運動をやってみます。

佛坂
痛みはどうですか?
B男さん
(脚を何度も開きながら)…全然痛くないです!…なんで…?

(仰臥位で股関節伸展位での内旋を5回 abolish)

その後、2〜3日後には完治した事を後に確認できました。
(股関節derangement DP 伸展内旋)

本来、マッケンジー法ではある方向・動きをしっかりと評価しきってから別の方向・動きを評価します。今回は、順を追って私の行った評価の内容をそのままご紹介したのですが、こうして振り返ってみると少々迷いがあることがわかります。最終的な結果を見ると、いわゆる股関節derangementと呼ばれる比較的早期に症状の改善する分類でした。

後から考えてみれば日常的にあぐらをかくことが多いわけですから、その逆の動きをもっといろんなパターンで、あるいは負荷を上げながら評価を進めていけば、より早く正しい答えにたどり着けたかもしれません。
マッケンジー法では日常生活動作についてお尋ねする時、その様子が目に浮かぶくらいに細かい事までうかがう事があります。これは日常的に繰り返される、あるいは偏りがちな動きの中に問題解決のヒントがあることは少なくないからなのです。

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