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糸島こどもとおとなのクリニック

マッケンジー法・症例ファイル

case_79 右肩痛

投稿日:2018年4月17日 更新日:

マッケンジー法の適応年齢はあるのでしょうか?

本日は90歳近い女性のお話です。
えっ、90歳の方にマッケンジー法?……と思われた方もいらっしゃるかと思います。
マッケンジー法は評価法ですから、高齢の方であっても評価を行います。問診でレッドフラグがないと判断された場合はもちろんマッケンジー法で評価をすすめます。

1〜2週間前からこれといったきっかけも無く右肩周りの痛みを覚えるようになりました。じっとしていると何ともないですが、手を上げる動作で右の首筋から肩、上腕にかけて痛みます。
角度にして70°程度しか肩が挙げられません。

高血圧、高脂血症、狭心症などの病気もお持ちですが評価するにあたり問題にはならないと判断しました。

単純X線写真では肩関節に変性所見、頚椎にも軽度の変性所見を認めますが、頚椎の前後屈側面像ではメカニカルな評価について問題となるような不安定性や重篤な病理などありません。

姿勢は高度の円背で、側弯もあります。

難聴のため補聴器をつけておられますが、それでも少し聞きづらいようですので、ゆっくりと耳元でお話が通じているか確認しながら診察します。

さて、通常、マッケンジー法では姿勢が悪い人には姿勢矯正保持をして、その影響をみていきます。
しかしこの方のように脊椎が高度に変形している人に腰を反らせ胸を高く上げるなど出来ませんね。
できるだけ少ないプロセスで診察したほうがよいと判断して、すこしだけ飛ばして問題解決の緒になりそうな評価から切り込みます。

佛坂
少しこうやって自分の左手で顎を支えていてくださいね…

かなり円背が強いので、顎を引く角度に気をつけながらご自分で顎をひいていただき、そこに指を添えて軽く押し続けていただきます。

佛坂
それじゃ、また手を上げてみましょうか
A子さん
あらっ、痛くない……

さきほどより少し手があがるようです。
さらにもう一度、顎を引いて左手で1分ほど支えてもらいます。
ご高齢ですが、意外なことに顎を引く動作はお上手です。

佛坂
もう一度手を上げてみましょうか
A子さん
さっきより手が上がってるみたい……

付き添いの息子さんご夫妻もこの変化を目撃されました。たしかに手がさらに上がっています(^-^)

ご家族にもこのエクササイズのポイントをご説明して初回評価を終了しました。

それから2日後。

佛坂
その後の具合はいかがでした?
A子さん
おかげさまで右の首の痛みは良くなって、少し下のあたりがちょっと痛むくらいになっています

肩がまだ少し痛むようですが、右肩を挙上していただくと160°ほど、スーッと挙げられたので、正直びっくりしました。

A子さん
一日座って外ばかりみております……

整形外科的に考えてみると、良い姿勢をとることで、肩甲帯のアライメント(肩周りの形のこと)が変わるので、その影響で肩が上がりやすくなるとも考えられるのですが、この方は円背で側弯もあり、顎を引く状態を1分やそこら続けたくらいで肩甲帯のアライメントが変わっているとは思えません。しかも軽度ではありますが、明らかな右肩関節の変形もありました。腱板もそれなりに変性していることが予測されます。
しかし、実際には「顎を引いた状態をキープしたら右肩の痛みが軽減して手が上げやすくなった」ということが起こりました。これはこれまでの整形外科的な知識では説明ができない現象です。

今回の評価の手順は、問診と姿勢をみて評価する方向を決定し、幸いにして最初のトライで良い反応が得られ、2日でほとんど完治するという状態にまで改善しました。
もちろん、今回ほど最短コースで症状が改善することばかりではないことは、過去の症例ファイルでもご紹介しているとおりです。

同じ肩周りの痛みを訴える患者さんであっても、スポーツを楽しむようなお若い方であれば、全く違う評価の手順になっていたでしょう。
マッケンジー法では何よりも安全管理を重視しています。安全第一に患者さん一人ひとりにあわせたカスタム評価・治療を行うことができるのもマッケンジー法の優れた点だと考えています。

-マッケンジー法・症例ファイル

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