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糸島こどもとおとなのクリニック

マッケンジー法・症例ファイル

case_80 腰痛・左膝痛

投稿日:2018年4月24日 更新日:

10年以上続いている左膝痛ですが、初診時はあまり痛みません

糸島こどもとおとなのクリニックからお届けするマッケンジー法症例ファイル。本日は10年以上前から続いている腰痛と左膝痛について来院された50代女性のお話です。

15年ほど前から腰痛を覚えるようになり、それから数年後に左膝痛を自覚するようになりました。ご家族のお世話が大変だった頃は特に症状が強かったようですが、その後、フォークダンスをするゆとりが生まれ、症状が少し軽くなっていたようです。
フォークダンスをしている時には忘れているものの、ダンス後に左膝が痛くなるようで、最近では多少右膝も痛みます。正座はできません。以前、他の整形外科で水を抜いてもらったこともあるようです。
当院にかかっておられる方から、当クリニックで体操を教えてもらえると言われたそうで、ちょうど同じ頃にピラティスの誘いもあったけれど、先に病院へ行ってみようと考えて来院されました。

しかし、初診当日はさほど痛まないようで、しゃがみ込むと左膝の前方と膝窩部に軽い違和感程度の痛みを覚える程度です。腰にも軽い痛みがあります。
(しゃがみ込み時の左膝痛 VAS 1/10、腰痛 VAS 1-2/10)

過去にお話したことがありますが、評価の際に、メカニカルな刺激による症状の変化を見るマッケンジー法では症状が軽いときはある意味評価が難しくなります。

既往歴も含め、メカニカルな評価が禁忌となるようなレッドフラグはありません。

単純X線検査では腰椎の変性は軽度、左膝はほとんど変性の無いきれいなお膝です。

まずは腰の可動域検査から。もともとフォークダンスをなさるくらいの活動性をお持ちの方ですからよく動けるのですが、他の動きに比べ、伸展が制限されているのが目につきます。
今回は症状が非常に軽く、生活習慣からもはっきりした増悪因子や改善因子が特定できませんでしたので、可動域制限が少し強い伸展から確認してみます。

腰を反らしてみることをお話すると、少しご不安なように見えたので、横について声をかけながら立ったままでの伸展を5回していただきます。最初はこわごわでしたが、毎回少しずつ反らしやすくなってきました。左膝の症状はかわりません。
(EIS 5回 腰椎EXT ROM↑)

診察台にうつ伏せになっていただき、臥位でしっかりと腰を反らす動きを5回していただきます。これもあまり変化はありません。
(EIL w/sag 5回 NE)

A子さん
腰を伸ばしたら腰痛が悪くなるんじゃないかと思って伸ばさないようにしていました
佛坂
いま一緒に動かしてみて大丈夫だとわかりましたね!
A子さん
はやくやってみたいです!

次に進むべき道は患者さんとの会話の中に見出します。

今日は「腰を伸ばす」という患者さんにとっては大きなブレークスルーがあったことがわかりました。
立ってやるエクササイズと、うつ伏せのエクササイズとではうつ伏せのエクササイズが分かりやすかったとのことですので、初回の評価はここまでとして次回までの宿題を決めます。
(EIL w/sag 10回/セット、1日3セット(朝1、夕2)+合間に数セット)

そして一週間後。

症状はあまりかわりません。
でも、長く立っている時にさほどきつくなかったような気もするとのこと。

エクササイズをやっていただきチェックします。
うつ伏せでの腰の伸展が大変スムーズによりしっかりとできるようになっています(^-^)
頑張っておられる証拠ですね!

伸展については問題なくなりましたから、今回は負荷のかけ方のポイント、曲げる部位の意識の仕方など、細かい指導をします。

立った状態での伸展ももう一度確認します。問題なくできそうですので、外出先でうつ伏せになれないときのために立位での伸展も指導します。

A子さん
腰をそらす時に、うっ……となりますが、大丈夫です

まだ多少腰をそらすことへの不安感がありそうですね。
横に寄り添いながら声をかけます。

佛坂
今も痛むかやってみましょうか……いかがです?
A子さん
あらっ、今は痛くなかったです!

成功体験ができましたね(^-^)

腰をそらすことがさほど怖くなくなってきました。
ただ、現時点ではまだ左膝についてはなんとも言えません。

A子さん
ダンスは控えめにした方がいいですか?
佛坂
やりたいようにやってみてはどうでしょう。それで痛くなったらどうしたら良いと思いますか?
A子さん
佛坂
腰をそらしてみてください(^-^)
A子さん
膝が痛いのに腰を反らせるってなんか不思議ですね…

マッケンジー法の評価ではまだ本当に腰椎の伸展がよいと確定しているわけではないのですが、これはやってみないとわからないのです。
でも、闇雲に伸ばすのではなく、伸ばしたら良くなるだろうという見込みと、実際に一緒に腰を伸ばしてみて問題ないことが確認できたので、これを現時点での進むべき道として選んだのです。
しかし、かりに痛くなったとしても、より痛くなった時こそ、本当にあるエクササイズが有効なのか確認するチャンスでもあります。
ご自宅でのエクササイズなどご説明し2回めの評価はここまでとします。
(EIL w/sag 10回/セット、1日3セット(朝1、夕2)+EIS、特にダンスの前後など)

それから6日後。

先日のフォークダンスは約束通り思いっきり踊ってみました……でも、全く痛くなかったそうです(^-^)
加えて、左膝の症状は、すでに完全に消失しています。

A子さん
腰を伸ばしただけなのに不思議……

本当にそのとおりですね。膝の症状なのに、これまでやったことは腰のエクササイズだけです。
しかし、同じエクササイズと言っても、この方は大変ながんばり屋さんで、ポイントをおさえてしっかりとエクササイズをしていただいたのは言うまでもありません。

佛坂
もしまた痛くなったらどうします?
A子さん
(腰に手を当てて腰をそらす動きをしながら)こうやって腰を伸ばしたらいいのかしら…
佛坂
そうですね!そうやってもうまく治らない事があったらまた来られてください。卒業試験合格です(^-^)

今後も、朝夕やダンスの前後など予防的にエクササイズを習慣化するようにおすすめしました。

初診時、非常に軽い症状で、進むべき道が見えにくい状況でした。
そんな時、患者さんとの会話の中から進むべき道を見つけることもあります。

今回は「腰をそらしてはいけない」という思い込みがあったということと、可動域検査での伸展制限をあわせ、伸展方向に狙いを定めてエクササイズを実施していただいた結果、10年来の右膝痛が2週間ほどで完治に至りました。
もちろん、今回はたまたま最初に狙った方向が当たっていただけなのですが、仮に悪くなった場合は……その症状の変化をもとに、また違う道を選んで進んでいきます。

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